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砂漠の月

第2章 砂漠の月71~150


「楽譜しか見ていませんでしたけど、綺麗な曲ですね」
「楽譜?」
「あー……じいさんの伝手でちょっと、な」
「あれ? もしかして言ったらダメでしたか?」

立ち合ったスタッフの言葉に首を傾げた月子と気まずい表情を見せた晴久に、スタッフが不思議そうな表情をした直後に申し訳なさそうな表情で告げてくる。
既に時遅しだが、晴久は後でネタ晴らしをするつもりでいたので大丈夫だと苦笑し、月子にこれも後でと伝えれば頷かれて完成したオルゴールを丁寧に箱に仕舞って貰うと店を出る。
外は丁度良く夕暮れで、夕飯はホテルで全員一緒の約束なので最後に軽くお茶でもしたら帰ろうという話になって喫茶店に入る。
席に着いてそれぞれ好きな物を頼むと、晴久はオルゴールの話をし始める。

「じいさんの伝手であそこの工房に扱ってない曲で作ってくれって頼んだんだ」
「おじい様の?」
「なんでか知り合い多くてな」
「へぇ……曲名は?」
「あー……忘れた。楽譜も送ったから手元にないし」
「そうなんだ。……思い出したら教えて?」
「覚えてたらな」

なんとなく誤魔化された気がしながらも月子は晴久の返事に頷き、頼んだお茶を楽しむとホテルに戻った。
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