第2章 砂漠の月71~150
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オルゴール作り体験。それが魅力で応募し作ってるわけなんですが
曲どうしようか。ふんふんふんと鼻歌で初めを思い出し元就は?と顔を見れば
…私の、指輪の嵌ってる左手の甲を撫で
ふと、目が合った。
「曲は、決まったか?」
「う、ううん、元就は?」
「我は…」
じっと、甲を撫でる手を頬に持って行き、私の手を愛でるかのようにすりと霞め
笑った。少しだけど。
「も、もとなり…」
「如何した?」
「…」
あーこりゃあ…
くすくす笑いながらトボケ始めたから、これ以上の攻防は意味を成しません
左手が恥ずかしさで悲鳴上げてるんだけどどうしましょうね
ぐいーっとさり気なく引っ張られ思わず2人で噴き出した
「ぷっ、も、もう」
「くっくくく」
おっかしくて笑ってたら工房の女将さんにイチャ付いてないで作業しなとツッコまれ
珍しく人前で笑ってる元就を見て、何だか嬉しくなった
今までどこ行っても仏頂面だったんだもの。
私の前でしか笑わないし。
…
うん、今思うと私の為だったんだなあって気付いて悶絶してます。あああ、私鈍すぎ。
調律を合わせて、箱はどうしよう。
元就カラーで黙々と飾り付けて行けば気になるのは正面の元就の視線で。
じーっと手元を眺め
「器用よな」
「ここは和風に決めてみました」
「悪く無い」
楽しみにしてると微笑まれて、嬉しくて
「ああああ~~市ってばリア充だよね。世間様ごめんなさいだよねええ」
「阿呆、意味不明に暴れるでない」
無性に込み上げてくる申し訳ない気持ちを取り敢えず心の中で殴っておいた。
どうどう、と元就に頭を撫でられながらめそめそ
「リア充が嫌か?」
「う”ふぉ、イイエ、恥ずかしいだけです」
「なら良い、市が我を嫌わぬのであったら良い」
「嫌わないです、絶対」
「そうか」
…質問が狡い。