第2章 砂漠の月71~150
嬉しい、そう言って頬を染め笑顔を見せる月子に晴久もホッとして笑みを見せながら、手を引いて中に入る。
展望台自体は出入り自由だが、小さなプラネタリウムと上にある天体望遠鏡は有料だった。チケットを買い、最初に上演時間が決まっているプラネタリウムに入る。
こじんまりとした部屋だったが、そこそこ本格的なそれは椅子に寝転がって辺りの照明が落とされると宙を浮いているような不思議な錯覚を起こさせた。
ゆったりとした女性の声が案内する星はこの土地で、今の季節に見れる星が天井から壁にかけて一杯に映し出される。
シートは二人掛けのカップルシートで、月子も晴久もお互いに隣に感じる熱に安堵し、手を繋ぎながら流れる星を眺めていた。
上映が終わると見終わった興奮のままに笑顔で感想を口にする月子に、晴久が笑顔で聞き役に徹して天体望遠鏡に移動する。
夕飯の時間を考えると移動時間を含めてそれほど長居は出来ない。天体望遠鏡を覗き、大きく見える星に驚いたり説明を聞いて関心したりとしながら束の間のデートを楽しむとホテルに戻った。
外から直接ロビーに行くと、そろそろ夕飯の時間だからと婆娑羅者も集まっていた。待ち合わせ場所は一旦ロビーを通過した所にあるのだ。
「月子ちゃん、どこか行ってたの?」
「はい。晴久さんとお散歩行ってました」
「そう、楽しめた?」
「はい!」
待ち合わせ場所には既に市と元就が居て、月子を見ると微笑んで手招きしたので駆け寄って会話をする。のんびりと後を追い掛けた晴久が辿り着くと残りは誰だーと言い始める。
夕飯はホテルの傍にあるレストランに行くらしく、どんなものを食べようかと話題は尽きない。女子は女子で固まってきゃっきゃとメニューやそれ以外にの会話を繰り広げ、男子も似たような状態である。
全員揃うとレストランに移動して食事を済ませ風呂に入る。翌日のことを一通り決めてから解散となり、一日目は過ぎていった。