第2章 砂漠の月71~150
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入学式、始業式と終わって最初にくる学校行事は身体測定である。
例にもれず婆娑羅学園でも身体測定は行われて、市と月子は丁度終わって教室に帰る所ではち遭わせた。
「月子ちゃん、終わったの?」
「はい! 市先輩は?」
「終わったわ」
「あの……結果、どうでした?」
お互いに声を掛け合ったところで、月子が少しだけ言いづらそうにしながらもこっそりと声を掛けてきた。
そんなことが出来るのも、男女が全く違う場所で測定を行うため周囲が女子しかいないという理由からだが、問われた市も何故だか頬を染めて視線を彷徨わせる。
「……その、ちょっとだけ、変わってた、わ。そういう月子ちゃんは?」
「えっと……その、自分が思ってなかったとこが変わってて……」
「それって……」
「……言えません、ここでは言えません」
顔を真っ赤にさせながら、フルフルと首を横に振るの態度でなんとなく察した市は自分も似たようなものだと頷く。
お互いに顔を見合わせると真っ赤になるのを止められない。変わっていた部分について、その思い当たる原因が一つしかないからでその一つについてお互いに目を合せるとどうしようもなく恥ずかしいのである。
ひとまず、着替えようとそこで市と月子は別れて更衣室へ向かう。
その後は通常通り授業を終えて生徒会室に四人集まった。翌日からは挨拶運動が始まるのである。
「朝三十分早く登校して、正門前で挨拶運動だ」
「風紀の奴らは?」
「あちらも来ることになっておるが、新入生はまだ委員が決まっておらぬで二年以上の者だけだな」
「何か、必要なモノってありますか?」
「特にはない。制服だけきちんとしておれば良い」
生徒会の書類を確認し、もうすぐあるだろう委員会に備え整理しながらそんな会話を交わした四人はほどほどで切り上げると、荷物を纏めてゆっくりと帰宅する。
そうして訪れた翌朝。挨拶運動の初日である。月子と市は制服を綺麗に着こなし正門前に立っていた。
ぽつぽつと登校し始める生徒、特に新入生たちににこやかに挨拶の声を掛けていく。
「おはようございます」
「お、おはようございますっ!」
「ネクタイ、歪んでるわ。直してね?」
「は、はいっ!」