第2章 砂漠の月71~150
唐突な申し出に戸惑った月子の前に、ほらと差し出されたのは先ほど晴久が投げ出した携帯で画面は元就との個人トークになっていた。
画面には市とデートすることになったので月子を頼むという内容が書かれており、月子は顔を紅くすると勢いよく顔を上げて晴久を見る。
晴久はふっと笑むと場所が被らない様にして、自分たちもどこかへ行こうともう一度誘ってきた。
「うん、行きたい」
「よし、決まりだな。どこ行こうな」
「どこが良いかな……」
「免許がありゃ、車で遠くまでとか行けるんだけどなぁ」
「私、晴久さんと一緒なら電車で移動するのも好きだよ?」
撫でながらどこに行こうかと考えつつ呟いた晴久は、返ってきた返事に見下ろせば撫でる手に気持ちよさそうに目を細めていた月子にきょとんとした表情で見返されて思わず項垂れる。
色々と反則だろうと項垂れる晴久に訳が分からず首を傾げる月子が居たが、少しして持ち直した晴久に改めてどこに行きたいかと問われて諸々の相談を楽しげにする月子と晴久が居た。