第2章 砂漠の月71~150
パタリと机に突っ伏した政宗と幸村を背後に、ニッコリと笑顔で雑誌を取り出した市が月子と元就を呼んでバイキング特集を広げる。
定番から最新まで取り揃えられたその記事は見ているだけで目移りしてしまう。
「食事系も充実してるところに行ってみたいです」
「そういえば、今そういう所もあるわね」
「甘味だけならば、ホテルのも良いようよな」
「晴久さんは?」
「俺は月子と市が行きたいところで構わねぇよ?」
月子の隣に座って撫でていた晴久が話題を振られてのんびりと答えるのを聞いて、月子が頬を染めつつ嬉しそうに微笑む。
市と元就はそれをスルーしながら行きたい場所を相談している。
カテキョをした四人は、誰一人政宗と幸村を労らなかったが、ある意味自業自得である。
月子だけは流石に最初は同情的だったが、一日目でその優しさは捨てられた。
何故なら、理由をつけながら脱走しようと何度か試みたのを目撃してしまったからだ。
自分から泣きついたのにとこの件に関してだけは、やや呆れ気味な視線を向けていたが二人は必死で気付かなかった。
ので、労いの言葉がないのは必然であるが、二人はやや衝撃を受けたようでやり切った以上に煤けていた。