• テキストサイズ

砂漠の月

第2章 砂漠の月71~150


うっとりとした様子で、丁度木々の間から見える絶景に目を細めていると月子と市の隣に誰かが座る。
気配の読めない月子もこの隣に座った人物だけはなんとなく判るので、顔を上げると月子の隣には晴久が、市の隣には元就が腰を掛けている。

「あんま浸かり過ぎると逆上せるぞ」
「うん、半身だけでも結構暑いね」
「市、顔が赤い。其方はもう岩に座って身体を覚ませ」
「えー……もうちょっと入りたいー」

のんびりと会話をするカップル二組を、生ぬるい視線でチラ見した後見ないふりをするのはもう仲間たちの暗黙の了解だ。
特に何をするでもなく温泉を堪能すると程よい頃合いで次々に上がっていく。服を整えて脱衣室を出ると、月子を待っていた晴久がそのまま抱き上げて歩き出す。
小さな悲鳴が上がったが、晴久は月子を降ろす気がなく月子は行きの途中でダウンしたのは記憶に新しいため降りることも出来ず、結局帰りは元親の屋敷まで晴久に運ばれることとなった。
そうして戻った屋敷には、広間に豪勢な食事が用意されており荷物を各自部屋に置くと広間で食事となった。

「美味しい! 海の幸、さすが!」
「凄い美味しいです! これはこちらの方の味付けなんでしょうか?」
「酒が飲みてぇ……」
「今の世じゃ法律違反だぞ」

わいわいとにぎわう広間での食事はあっという間で、用意された食事は綺麗に片付き食器が下げられると全員集まって翌日の観光地を決める。

「温泉はちかちゃんのおかげで良いトコあるから……とりあえずお城見学かな?」
「俺の昔の居城行くか?」
「そうだね……その後、近くに水族館があるみたいだからそこにしよう」
「メインはそれで良さそうだな。あとは各自気になる処があれば寄って貰う形で良いんじゃないか」

ああじゃない、こうじゃないと話し合いの結果に全員が賛成し、行き先が決まると運転手になる黒羽たちにそれが伝えられる。
後のルートはお任せで、食事は名物が食べたいなぁ……と零した市に色々調べに行く忍びたちが居たとか。
今日はこのまま解散してゆっくりしようという話になり、それぞれが思い思いに散っていった。
/ 338ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp