第2章 砂漠の月71~150
「市ちゃんと月子ちゃんだ! あ、かすがちゃんといつきちゃん……だったかな? 今日は女子会?」
「浅倉さん、こんにちは。こんな所でどうしたの?」
「今日はケーキの取材だよ。ここの新作が密かに人気になりつつあるって聞いたんだ。あ、隣のテーブルに座ってもいい?」
「うん、良いですよ。ね? みんな」
驚き顔を振り向かせた市と月子は、懐っこい笑顔で近づいてきた浅倉にホッとして笑顔を見せると会話を交わす。
ケーキについて聞けば、頼んだメニューに入っていたので楽しみだと笑いあう。
「そういえば、お写真ありがとうございました。直接お礼言えなくて……」
「いえいえ! 僕も素敵な被写体撮れたから大満足! なかなか綺麗に撮れてたでしょ?」
「はい。初めてだったので、嬉しかったです」
月子が今更なお礼を恐る恐る口にすれば、浅倉はなんて事無いように受け止めて笑っている。
写真の出来栄えを聞かれ、頬を染めて嬉しげに答える月子を微笑ましげに見るのは浅倉だけではない。
何故か自然と会話に混じりお茶をした浅倉は、四人が帰ると聞いて送りを申し出た。
四人は顔を見合わせたが、浅倉なのでと言葉に甘えることにしてその日は無事に帰宅した。
実は、浅倉が送りを言い出さなければ、周囲をナンパ男に囲まれていたかもしれないというのは、誘った浅倉自身も知らない事実である。