• テキストサイズ

砂漠の月

第2章 砂漠の月71~150


116

期末試験が終わって少しすると春休みに入った。
月子は市に誘われて、かすがといつきと共に春休みの旅行のために買い物に来ていた。

「旅行となると、なんか新調したくなるよね!」
「入用じゃなくても買いたくなるものもありますよね」
「そうか?」

市が元気に力説するのに頷いたのは月子で、首を傾げたのはかすがといつきだ。
首を傾げても、買い物自体は楽しいのだろうかすがの雰囲気は柔らかく、いつきも笑顔で月子と手を繋いで歩いている。
後ろからそれを見ながらかすがと市が歩いているのだが、市は内心でいつきと月子を見て可愛いと悶えていた。

「あ、トラベルグッズが売ってる」
「ほんとだべな。これ、可愛いだよ」
「うん、色違いとかあるし……いつきちゃん、お揃い買う?」
「うん! 買おう! 市姉ちゃんたちも早く来るべよ!」

月子がふと見つけたのは花がモチーフの雑貨屋で、小鳥や猫などの動物も入り混じって可愛らしいトラベルグッズが並んでいた。
洗面用品などを入れるバッグから始まり、コームや旅行カバン、果てはパジャマなどまで幅広く取り扱ってあるそこに入る。
いつきと月子は洗面セットを入れる詰替え用のボトルや歯ブラシなどがセットになったバッグを見て、市とかすがはバスタオルやフェイスタオルがある場所で手触りや吸水力をチェックして始める。
しばらくして四人揃うとその手には四人分のバッグとタオルがあった。

「市姉ちゃんたちにも選んだんだ。使ってくれるだべか?」
「もちろん! ありがとう、いつきちゃん、月子ちゃん!」
「ああ、使わせて貰う」
「良かったです」

洗面セットのバッグは、かすがは薔薇の模様が入った物、市は黒猫、いつきは森の動物たちで、月子は蒼い月と白猫の模様だった。
市たちもタオルをそれぞれに選んできており、こちらは花の模様がそれぞれのイメージで刺繍されているものだった。
会計を済ませると、カフェでティータイムにすべくメニューを広げる。
注文を済ませ、品物を待っていると唐突に声が掛かった。
/ 338ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp