第1章 砂漠の月00~70
09
「勘違いをせぬ事よ、我は貴様を信じぬ」
「え」
「何故、何の目的で晴久に近付いた?」
「わ、私はっ、そんな」
「もう、元就」
「フン」
元就の様子がおかしいと思ったら喧嘩吹っ掛けてもう~。
晴久の居ないとこで怪しんで話しかけてるところを見つけて良かった。
疑うだけ疑って去ってって、月子ちゃんがショック受けてたのを抱きしめると眉をハの字にさせて
あらら、泣かない泣かない。元就は身内思いだから疑心暗鬼になってるだけだよと背中を擦る。
「私、迷惑ですか?」
「迷惑だったらうちに呼ばないよ?」
元就の疑いが晴れるまで貴女らしく居てね。
頭を撫でながらそう伝えると。うん、と頷いて。良い子良い子
冷たいタオルを当てて落ち着かせて、にこりと微笑んだのに安堵の笑みが零れた。
もうすぐ寝る時間だけど私の部屋で2人で話してたら部屋のドアを軽く叩く音
「市、月子、もう寝たかー?」
「起きてるの分かってるくせに、入っていいよ」
入る許可を出すとひょっこり顔を出したのは晴久と…元就
元就の顔を見て月子ちゃんが一瞬驚いたけど、大丈夫。
さっき口を出したけど、今はここで喧嘩売られないから
「…ん?元就何かあったのか?」
「其方の気のせいよ」
「そか」
晴久ってば月子ちゃん気に入ってるよね。部屋に入ってから月子ちゃんの頭撫でてるとか
月子ちゃんの顔が真っ赤ですよ。晴久も大概鈍いな。
扱いが小動物です、行く先が不安でならないんだけど。
何か話そうぜ、とか言って来てるけど毎週末だらだらと過ごしてるので話す話題が無い
「いいけど、何話す?」
「あー…月子が初だから自分達の事?」
「あのねえ」
自分達の事っても、今世になってからしか話せないでしょ
とりあえず…
「好きな食べ物とか?」
「幼い子でもあるまいに…」
「元就は甘味が好きだな?」
「人の情報を漏らすでない」
「ふふっ」
変な漫才繰り広げてたらくすくすと小さく笑われて、良かった。月子ちゃんが笑ってくれた。
元就に口パクで泣かせたら怒るよ、と釘を刺す
むっと眉間に皺が寄ったけど。私は月子ちゃんの味方ですよ!?