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砂漠の月

第2章 砂漠の月71~150


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秋も終わり12月に入った所で、珍しく、元就は街中で人を待つ。
場所が場所なのか周囲に人も多く、自然に着物を纏った元就に注目が集まる。
徐に視線を移して目が合った女性がきゃあっと、気恥ずかし気に悲鳴を上げるが
元就は我関せず。女の後ろから歩いて来る者を見つめた。

「元就」
「やっと来おったか晴久」

今日は女性陣に内緒で、クリスマスプレゼントを買いに行かないかと提案されたのは良いが。
こいつも和服か、と少しゲンナリ、さっきから感じていた視線が増えた気がする。

まあいい、行くぞと晴久を共に。少し歩いた所の宝石店に入った。

「ジュエリー?」
「市と月子にネックレスもブレスレットも渡したであろう」
「あー、指輪か」
「フン」

宝石店に居ても着物の2人はやたらと目立つ。何故か遠巻きに見られてるのを元就は気にせず
店員を呼び出し、何事か話した後個室に案内された

元就が用意する指輪のデザインはオーダーメイドで
資料を見ながら唸る晴久の横で、元就は何か目を引いたのかこれを、と

「ん?決めたのか?」
「予めイメージは決めておった」

凛と咲くヤマユリのようにシンプルでいて華やかな美しさを持ち、脇石のピンクサファイアが可愛らしいデザイン
刻印可能と聞き、そのようにと頼んだ。

晴久は可愛らしいピンクサファイアが輝くリボンの形で。

「自分の奴はシンプルなんだな」
「きらびやかな指輪がお望みか?」
「いや、そうは言ってねえけど」

クリスマスに間に合うように、手続きを済ませて。

「お支払いはカードで?」
「「キャッシュで」」

着物を着たイケメン男2人が、高額の指輪の支払いを現金で払ったとか
店員内で少し噂になったらしい。

「クリスマスね、喜んでくれるかねえ」
「無論、我に抜かりはない」
「自信ありすぎだろ」
「月子も喜ぶであろうな」

元就が、急に月子の名を口にして驚いた。ああ、こいつも兄貴として自覚が出来たんだな

「義兄上ってまた呼べるな」
「…やはり妹は其方にやれん」
「頑固親父かよ!」

結局ぎゃいぎゃいと、視線を気にせずに憎まれ口を叩きながら2人は帰路に着いた。
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