第2章 砂漠の月71~150
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"月子ちゃんとお月見するの?これ、作ったから持ってってね"
市に渡された月見だんごを片手に、月子を迎えに行くと市の部屋で雑誌を読んでいて。
コレ、渡されたって事は2人きりになれって、背後で元就に言われてる気がしてならない。
「晴久、さん?」
「庭に出てみねえ?」
市は元就と食べるの用のだんごの用意してたし、元就は傍の食卓で新聞読んでたな
月子の手を引いて中庭に降りて空を見上げると、綺麗な満月の光に照らされた
「こんな風に、空を眺めるのは、夏の旅行以来ですね」
「あー、星空綺麗だったな」
今は月の光で星見えないからなあ、縁側にだんご置いて1つ摘まみ口に放る。
ほのかな甘みが効いた、昔ながらの市の甘味を月子の口元に運んでいくと
顔を少し赤らめながら口を開く
「…美味しいです」
「あいつは昔っから色々出来るからな」
月子の顔を見て思いついた。にっと笑って月子を抱きしめ。
ぽんぽんと背中を叩きながらぼそりと"お願い"を伝えると、驚きの表情で俺をみる。
「え、いいです、けど」
「嫌になったら言ってくれ」
月子の膝を枕に寝転がり、んーっと背伸びする晴久に、月子は顔を真っ赤にして照れる
えええ、この体勢でいいんですか?とオロオロしてると
晴久は手を伸ばして頭を撫でた。
市と元就は屋根の上に上がったのか気配がそこにあって。
「月子~」
「はい」
膝の上で甘えてくる晴久が可愛くて思わず笑顔になった。
「晴久さん」
「ん?」
「あ、え…と。大好きです」
思わぬ月子の可愛い告白に目を見開いて。ああ、何か幸せだ。
「俺も好きだ」
「…うー、晴久さんカッコイイです」
「そりゃどうも」
「全部全部大好きです」
「俺もだ」
「うー…」
お互い照れて真っ赤になりながら。くすくすと2人で笑い合った。