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砂漠の月

第2章 砂漠の月71~150


「うん、良いのが撮れた! ありがとう」
「なんか恥ずかしい……」
「浅倉にしては良い絵だな」
「あはは、アリガトウゴザイマス。現像したら自宅に送るね! じゃ、お邪魔してごめんね! 君たちもお幸せに!」

またね! と言って元気に去っていく浅倉に呆れつつも互いに顔を見合わせると、ふっと笑い合いどちらからともなく手を繋ぎ指を絡ませる。

「お幸せに……だって……」
「市さえその気なら我はそれでも構わぬが、その為には其方の身内を説得せねばならぬな」
「うっ……止めてください。この時代じゃ、まだ早いよ?」
「我には遅いくらいだが、今更逃す気はないのでな」
「うぅ……恥ずかしい……」

浅倉の残した言葉にまだ早いのにと呟く市は、その耳元で口説こうとする元就の言葉に顔を真っ赤にしてブンブンと首を振る。
改めて、自分の気持ちはまだまだ幼いと自覚するに至った市は、それでも反撃したくて涙目ながら強気の表情で元就の腕に引っ付きながら言う。

「もうちょっと、恋人してたい、です……」
「……ふっ、それもよかろう」
「うぅっ、全然動じない。元就のばかっ」

くくくっと笑った元就は腰を支えて一歩を促しながら、自分の肩に真っ赤な顔を埋めて悔しそうに唸る市の頭部に頬を寄せる。
そうして、晴久と月子と合流するまでゆっくりと市との時間を堪能した。
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