第2章 砂漠の月71~150
「市は、元就が好き……」
ちゃんと心が追いついたことを伝えたくての行動で、元就が驚いた顔をしてくれたのが嬉しくてクスクスと笑っていれば唐突に起き上がった元就に逆に押し倒されて悲鳴を上げる。
そのまま抱きしめられて、市は大人しく腕の中に収まる。
「遅いわ……」
「うん、ごめん」
「本当に、我で良いのか?」
「うん、元就が良い、の」
「そうか」
抱き返しながら元就の確認に頷くと、顔を上げた元就に口付けられる。
今までの軽い戯れではないそれに、市は慣れないながらに応えようとする。
息が苦しくなってくる頃、ゆっくりと離れて顔を覗き込まれる。
「今度、外にデートに行くか……」
「……いいの?」
「したいのであろう?」
「したい、けど」
「我も市と色々見てみたい」
「月子ちゃんたちとダブルデートも、したい」
「努力はしよう」
「なに、それ」
クスクスと笑い出す市に、元就は片眉を上げて再び口付けると起き上がって、とりあえず今からお茶でも飲みに行くかと市を誘って家を出た。