第1章 砂漠の月00~70
65
"俺達はもうあんたに関わらない"織田の娘と毛利の男を襲わせた奴からのメールを見て目を見開く
まさか、私の放った屈強な男達が返り討ちにされるだなんて。
こんな事があっていいわけがない!
「晴久君、良いかしら?」
「お前に名前を呼ぶ許可を与えてない、何故月子をそんな追い詰める?」
「あら、そんなに月子が良いの?色男
貴方の様な存在は月子に居ちゃいけないの、分かる?
月子は小野のおばさま達を裏切ったわ。昔からいけ好かない小娘だわ
そうね、私はあの子が嫌い。あの子が幸せになるのが嫌
それだけよ、私が楽しめれば他に理由はない
いい加減殺してしまおうと思うの」
「お前の腹の内はどす黒くてこれっぽっちも理解不能だ」
いかに月子が真っ白で良い奴だと思い知らされる。
ああ、月子に会いてぇなあ…今程こんなにも会いたいと思った事は無いのではないか。
近づいて来た気配に口元が緩む、これは市の計らいか。
「黒羽、雹牙」
「調べて参りました、過去の事」
「過去、月子にした事の数々、目に余る物があるな」
「なっ」
黒羽と雹牙の登場に女は顔を強張らせた。まさか今の全部聞いて?
晴久が黒羽に黒い物体を渡し、何も無かったかのように教室を出て行き
「さて、姫様に害を成そうとした事、私達は腸が煮えくり返って仕方がありません」
「信長公がお待ちだ、無理矢理にでも着いて来て貰おう」
誰も居なくなった学校で、泣き叫ぶ女の声が響いた。
晴久は自分の家に戻らず真っ直ぐ毛利の家に向かう
月子がパニック状態だと弘元からのメールに顔を顰める。どんだけあの女に心を痛めつけられたのか、考えるだけで
あの可愛い笑顔が、悲しみに暮れているのだと思うだけで心がザワつく
毛利の家に到着すると弘元殿は着物姿で外で待っていて…
「やあ、来たか」
「弘元殿、月子の様子は?」
「今は安定している、会ってやってくれ」
奥に促され、中に入ると市も元就も泣き疲れて眠る月子の頭を撫でていて