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砂漠の月

第1章 砂漠の月00~70


「敵情視察というわけか……フンッ、なめられたものだ」
「兄さん……?」
「案ずるでない、我らは婆娑羅者ぞ。其方の心配するようなことにはならぬ。だが、まぁ、あやつには良い薬かもしれぬ。其方が不安なら学校や外では我らと行動を別にするのは良い。だが、家の中でまで閉じこもるな」
「でも……」
「家の中での事まで漏れるようならば、間者が居ることも考えねばならぬでな」
「……はい」
「それに、其方が籠ると母が張り切る」

硬くはあったが、元就の言葉に僅かでも安堵したらしい月子は小さく頷いた後、続いた言葉に思わず吹き出し小さく笑い出す。
それに目を細めもう一度頭を撫でた元就は、夕飯の準備をしてくれと言うように階下へと誘い月子はベッドから出ると大人しく従った。
布団から出て居間に降りると市が来ていて元就に泣かされたのかと抱きつかれ、ひと騒動あったのは別の話だ。晴久は事情が分かるまでは来るなと言われ、ふてくされながら自宅に帰って行ったと聞かされたのは夜の寝る頃の事。
月子は晴久に申し訳ないと思いながらも、どうか無事に居て欲しいと願いその日は眠りに就いた。
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