第1章 砂漠の月00~70
何時の事かと首を傾げた月子はヒントを与えられて思いついた言葉を口にする。
それを聞いて満足気に頷いた元就は、頭から手を離すと部屋を出るために扉へ向かう。
月子は何しに来たのだろう? と首を傾げたままそれを見送っていると、振り返らないままに何か言ったようだが聞き取れなかった。
何かと問おうと思っても、扉は閉じてしまい追いかけるのも難しく月子は追いかけるのを止めた。
「私らしく……かぁ……」
励ますような言葉に落ち込んでるように見えたのかもしれない、そう思い当たって苦笑を浮かべるとぱちりと自分の頬を軽く叩いて気持ちを入れ替えると課題の続きに向き合う。
元就の言う通り、月子は月子以外にはなれないのだから自分らしく居るしかないのだと自分に言い聞かせる。
「まずは、課題を終わらせてお菓子作ろうかな。市先輩には敵わないけど、差し入れは喜んで貰えるもんね」
扉の向こうで元就が月子の様子を伺っていたなど、気づかないままうん、と一つ頷くと手を動かし始めた。