第1章 砂漠の月00~70
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気付くと、俺達の傍に寄り添っていた。
意識すると、市の心や自分を支えてくれていた。
無意識のうちに彼女を目で追って、手が頭を撫でていた。頭を撫でると触れる髪がサラサラとしていて心地が良い。
「?」
「いや、何でもない」
元就が、市に告白すると言って、屋上に行く背中を見送った後現れた月子に正直救われた。
実の両親の自分に対する対応に、小さな体が泣くまいと必死に耐え震えてた。
自分に問う、何故彼女を目で追う?何故こんなにも構う?
「晴久は月子ちゃんの事どう思うの?」
「月子?何でまた」
月子は…友達だろう?教室で市に聞かれ答えたのだが
紡いだ言葉に、市は納得してない表情で。
背後から元就にどつかれ、睨み返すも馬鹿者、と。
ちがう。
これは
この俺の気持ちが違うと言う風に違和感を覚える。
「市、晴久、帰るぞ」
「ああ、月子連れて来るから入り口で待っててくれ」
元就の唇が動く、市に気付かれず、俺に伝えてくる音にならない言葉
"其方は、本当に月子に惚れてはいないのか?"
俺が、月子に、惚れて?
否、まて、何でそんな話になるんだ?元就はニイっと笑って俺を茶化すが。
このイラッと来る気持ちは覚えがある。
ああ、でも
それでも俺は
俺は市と元就、婆娑羅者の奴らが大好きで。
そこに月子が混ざってるのが当たり前になってる環境で
認めてしまったら、今までの前世から市を想ってた事実が心を抉る
市はもう元就のものなのに。
そこで、傍で立っていて、気付いたら一緒にバカやって
「あ、晴久先輩。これから帰りですか?今準備します」
顔を見て気持ちがハッキリとクリアに、意識が表面化された。やばい、顔が熱い。
「晴久先輩?顔が赤いですよ」
最近顔が赤いですね、と言われてやっと自覚した
月子の傍に居たいと勝手に想ってるのは俺だ。
「いや、大丈夫だ。気にすんな」
月子の事、1人の異性として意識してる自分に気が付いた。