第1章 砂漠の月00~70
自宅からほどほどに離れたそこは民家を改装してあるカフェで知る人ぞ知るという店である。視線を向ける人間もほぼ居らず、ケーキも紅茶もコーヒーもマスターこだわりの逸品で月子も落ち着けるし満足だろうと晴久のチョイスだ。
顔を出すと僅かに驚いた顔をされたが、柔和なマスターはそれ以上何も言わず席に案内されると注文を取り下がっていった。
月子は物珍しそうにその店を見渡し、晴久と会話をして出てきた物に舌鼓を打ち、楽しげに笑っている。晴久はそれを見て満足感を得るとほどほどで月子を自宅に送ってから家に戻っていった。
翌朝、その話を元就に突っつかれて小突き合いをすることになるのだが、それは別の話である。