第1章 砂漠の月00~70
「でも、教室に行った後が大変、ね」
「う……質問攻めになりますよね」
「一緒に行って牽制してやれば良いんじゃないか?」
「そう、ね。それに、変なこと言われたら直ぐに言ってね?」
「はい、ありがとうございます」
市と晴久の言葉に不安そうにした月子を落ち着かせるように抱きついた市が、大丈夫、大丈夫と背を撫でながら言い、そろそろ移動しないと授業が始まるからと四人で移動した。
月子が教室に入るとざわめきがピタリと止まったが、元就と晴久が余計な詮索をするなと言い放ち、ギクリと肩を揺らした生徒を確認すると月子にまた後でと言い置いて教室に帰っていった。
後にはそわそわと聞きたそうにするクラスメイトとそれに苦笑する月子が居り、そのざわめきと好奇心が落ち着くまで数日かかったのは仕方のない事だった。