第1章 砂漠の月00~70
長いような短いような沈黙の後、月子から出た言葉に今度は晴久の方がきょとんとした表情をした。
おうむ返しに返されて、コクコクと頷くので精一杯の月子は顔が赤くなるのを隠そうと徐々に俯いていく。
断罪されるのを待つような心地で居れば、ぽんっと頭に大きな手が乗せられて月子はわしわしと撫でられた。
「そっか。良いぜ、なら、今から友達な。もう言い逃げすんなよ?」
「うっ、そ、れは、無理ですっ!」
「なっ、あっ!」
視線を上げた月子の前には納得という顔をしている晴久が言い、顔を覗き込んでくるのをまともに受けてしまい月子はこれ以上ないほど真っ赤になると涙目で今度こそその場を逃げ出してしまった。
後には捕まえ損ねた晴久が呆然と見送る姿があった。