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砂漠の月

第1章 砂漠の月00~70


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元就は月子の住む小野邸へと訪れた。きちんと手伝いの忍に用を伝えると
月子がこの家から解放される事を喜んだ。

元就はぶ厚めの書類を、以前より草臥れた様な両親に突きつけ中を確認させる

「月子、の…絶縁状?」
「月子は我の。毛利に連れて行く。貴様達が二度と目に触れぬ所ぞ」
「毛利様、私はどうしましょうか」
「其方は一旦織田へ戻るが良い、信長公からの命を待て」
「はっ」

厳しい家政婦から解放されたと同時に、ここずっと顔を合わせてない娘が居なくなってしまう事実に。
やっと母親の自覚が芽生えたのか、せめて、最後は話をしたかった

「もう遅い、其方は欲に正直過ぎた、娘は戻らぬ。我の妹として面倒を見ていく」

毛利の若様の、その鋭い視線に。ビクリと肩が跳ねて

「元就先輩、荷物、ありがとうございます」
「気にするでない、家具やベッドは業者に頼んで取りに来る」

分かりました、そう笑顔を見せる月子の顔に。
母は、今まであのような顔は見てなかった、否、自分が接してた時、心が離れてたのだろうと推測した

「今までありがとうございました」
「帰るぞ」
「はい!」

ほんの少し目が合ったけど逸らされ、育てたお礼を言われて頭が真っ白になった。

業者が小野邸から月子の荷物だけを運んでる横で。
先に帰ろうと元就に促される。

「夢みたいです、あの家から解放されるなんて」
「月子」
「はい、元就せんぱ…あたっ」

強烈な元就のデコピンを食らい、額を抑えて耐えながら
涙目で元就を見たら、笑っていて

「元就、兄さん?」
「名は要らぬ」
「!…兄さん?」
「ようできた」

正しく名を呼べば頭を撫でられて。
書類を渡されて、迷惑を掛けて申し訳ない気持ちになったけど

小野月子は、毛利月子になりました。

「晴久も市も驚くであろうな」
「言ってないんですかぁ!?」

学校が始まったら色んな意味で大騒ぎになったそうな。
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