• テキストサイズ

砂漠の月

第1章 砂漠の月00~70


「順番が来て、乗り物に乗ったあとはショッピングにしたの。市、その乗り物だけ乗りたいだけだったから。そうしたら、アクセサリーショップで店員さんに……」

市はその瞬間を思い出して落ち着きかけた顔色を再び真っ赤にしながら、恥ずかしそうに続きを話す。
ショップに入った元就は、最初は市に合わせて眺めるだけだったが、人が少なくなった頃にスタッフを呼んでこう言った。

「恋人に何か送りたいんだが、いくつか見繕ってくれぬか」
「承知いたしました。イメージやアクセサリーの種類にご希望などございますか?」
「石に緑と黒を、種類はペンダントでシンプルで品のある物が良い」
「畏まりました。こちらでお待ちください」

スタッフは微笑ましげに元就と隣で驚いている市を見て、元就と市が見てただろう品物も当たりをつけていたのか含めて候補を持ってきた。
元就がそれに満足そうにしながら選んでいるのを、声も出せずパクパクと口を開閉して見ている市にスタッフが声をかけてくる。

「素敵な彼氏様ですね」
「うぅ……」

恥ずかしすぎて言葉を返せない市は、ちらりと元就を見ながらコクリと本当に微かに頷くしか出来なかった。

「市はまだ、元就の気持ちに追いついてないから、恋人って……」

その時を思い出して複雑な心境を思わず零せば、月子が大丈夫という様に手を握ってきて市の顔に苦笑が浮かぶ。
そこからは、元就が気に入り、市の好みでもある品物を選ぶのでそこそこの時間が掛かり他を回るには中途半端な時間になったので入り口の方でカフェにでも入って待とうという事になった。

「それで、入ったカフェに月子ちゃんたちがいて、なんだか凄い緊張感であーんってしあってたから……」
「わっ! 市先輩! それは言っちゃダメですー!」
「あら、でも楽しそうだったわ、よ?」
「そういう問題じゃっ! 凄い恥ずかしかったのに晴久先輩はやっても動じないんですよ?! いかにしてこの恥ずかしさを伝えればって必死だったんですー!」

カフェの所まで来たところで、自分に返ってきた月子は慌てて止めようと言葉を遮るが市は逆にニコニコと楽しそうに話しだして……。
結局、月子と市の会話は男性陣が風呂に呼びにくるまでお互い恥ずかしがりながらも楽しく続いたのだった。
/ 338ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp