第1章 砂漠の月00~70
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コテージ宿泊の最終日、午前中はコテージの掃除をして荷物を片付けてから出発して途中にあるテーマパークに立ち寄った。
「乗り物乗りたい人とショッピングを楽しみたい人に分かれて、17時にもう一度ここに集合な!」
「OK! 俺は乗り物乗るぜっ!」
「おらも政宗兄ちゃんと一緒に行くだよ!」
「私は行きたいスポットがあるから行ってくる」
入り口前の広場で行動の指針を決めると、それぞれ前々から目を付けていた物があるようでここぞとばかりに駆けていく。
「月子はどうするんだ?」
「絶叫系とかは苦手なので、ショッピングメインでのんびり回ってみます。好きな映画のセットを再現したエリアもあるんです、ここ」
「そうか。んじゃ、行くか」
「え?」
真っ先に駆けていく政宗たちを見送りながら、市は元就に誘われてデートの様で照れながら手を繋いで二人で奥へと歩いて行った。
それを見送っていた月子は、隣から晴久に問い掛けられて自分の予定を告げると当たり前のように手を差し出されて思わずきょとんとした表情で晴久を見てしまった。
晴久の方も、驚いたような月子の様子にきょとんとしてしまうがはたと何かに気付いてバツが悪そうに頭を掻く。
「悪い、俺と一緒は嫌だったか?」
「えっ! いえ! そんなこと全然思ってないです! でも、晴久先輩は乗りたい乗り物ありますよね? 前にここの特集が載った雑誌見てた時に行きたいって……」
「覚えてたのか?」
「えっと……その、はい」
申し訳無さそうに謝られ、思ってもいなかった事を言われて目を見開いた月子は慌てて首を横に振ると思っていたことを口にする。
恒例となっている週末お泊り会に混じらせて貰って数度目の頃、たまたま見ていた雑誌に載っていた特集でここの乗り物を見て乗りたいと言っていたのを月子は覚えていた。
だから、今日立ち寄ると言われた時に晴久はそちらへ行くだろうと思っていたので、月子は一人で回ろうと思っていたのだ。
他のメンバーも乗り物などが好きそうだし、市は元就が二人になりたがるかもと思っていたから。