第6章 頑張れは困らせる
桜が咲き始めた頃
二宮くんはずっとベンチだったが
とうとうキャッチャーとしてレギュラーに選ばれた
とても急だったらしい
「先に帰ってて、あとで電話する」
いつも一緒に帰る二宮くんから連絡がきた
「わかった。ゆっくりでいいよ」
「さんきゅ」
レギュラーに選ばれると大変なのだろうか
陸上部にしか入ったことのない私には未知の世界だった
二宮くんが毎日素振りを500本もやっているのは知ってるし
毎朝ランニングしてるのも知ってる
オフの日もほとんど自主練に使ってる
私も自主練はするけれど二宮くんほどは、やっていないと思う
二宮くんはああ見えて本当に努力家なのだ
ーピロリン
通知がなった
まいちゃんからだった
「大変!今週の土日うちの学校で野球部練習試合だって!」
なんだと!!!観たい!!
愛花「観たい!まいちゃんは観に行くの?」
すぐ返事をした
まい「もちろんイケメン探さなきゃ。愛花は?土曜休みでしょ」
愛花「うん。奇跡的に休み」
まい「じゃあ行こう!」
意外とすぐ決まった
二宮くんが野球をしているところなんて想像つかない
付き合い始めて半年経とうとしてるけど未だに野球をしている姿を見たことは無かった
楽しみでしょうがない
頑張れって送らなきゃ
そう思ったけど
頑張ってる人に頑張れって送ってもなにを頑張れっていうんだ
と思った
実際私が練習中に頑張れと言われても
今頑張ってるんだけどなぁ、ってなる
頑張れって言ったら疲れるだろうか
自分が言われて嫌な言葉は言うな、と言われてるが
それってこういうことなのだろうか
今まで生きてきて今その言葉を理解した気がした
なんて声をかけてあげればいいのかイマイチ分からなかった