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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い



 トド松さんーっ!!
 そりゃ私もひどいことをしたけど、あなたが女をとっかえひっかえなのも事実でしょうが!!

「ご、誤解です、濡れ衣です!! そうだ、おそ松お兄さんは?
 おそ松お兄さん!! 私の潔白を証言して下さい!!」

 すると、ひょこひょこ走ってきた十四松さんが、

「あー、二人ともおかえり!! おそ松兄さんならパチンコに行ってるよ!」
 ろく○なしがあっ!!
 一松さんはガタガタ震える私をしっかり捕まえながら、

「十四松。俺たち、帰りは遅くなるから」
「え? 今帰ったのに? いってらっしゃーい」
「十四松お兄さん! 呑気に手を振らないで下さい! お母さん、助けて下さい!」
「残業だって!」
「またか! 誰かあ!! 襲われるー!!」
 だが助けは来ない。

「じゃ、何から始めようか……」
 一松さんは私をズルズル引きずっていく。
「何からって何ですか! 私は無実ですよ! ちょっとぉ!!」
 私を見下ろす一松さんの顔は、見たこともないほどの邪悪に彩られていた。

 そして私は引きずられ、闇の中に消えていったのでした。


 教訓。リア充カップルに嫉妬するのは醜い行為でございます。嫌がらせは絶対に止めましょう。

 …………

 …………

 あー、腰が痛い。

 ぐちぐちぐちぐち。

 平日の真っ昼間。
 公園のベンチで愚痴り続ける、うっとうしい小娘がいる。

「まあ、好きか好きじゃ無いかって言われると、多分好きだとは思うんですけど、
こうもアレだとやっぱり遊ばれてるのかなあって……何だか泣きそうになって」
 ポンッと優しく肩を叩かれる。
 見下ろすと、隣に座ったチビ太さんが親指を立てて微笑んでいた。

「正解だ、嬢ちゃん。その男とは別れろ!!」

 キラリとハゲ……ゴホンゴホンゴホンっ!! 失礼、キラリと歯が光る。
 チビ太さんは腕組みしてふんぞり返り、

「だいたいなあ。聞けば聞くほどクズじゃねえか、その男。
 二十過ぎて仕事はしねえ、遊んでばかりって。もうダメダメじゃねえか、人として!!」

 そ、そこまで言う!?……かも。

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