第2章 二ヶ月目の戦い
その後、私は危険すぎるアルバムを押し入れ奥深くに封印した。
そして彼らの過去に二度と触れないことを決意したのであった……。
一時間後。
ご兄弟の去った部屋で、私は怒っていた。
「一松さん」
「…………」
「一松さん、言いたいことがあるなら言ったらどうなんですかっ!!」
「…………」
一松さんは、部屋の隅で猫を抱えている。
そして恨みがましい目で私を見ていた。
「いや、あなたにも自分で自分の見分けがついてなかったでしょうが。
他人の私がどう見分けろって言うんです!!」
ギャルゲーや恋愛漫画なら、愛で双子を見分けるんだろうが、それが六つ子だと難易度三倍どころか三乗である。
「…………」
奴は明らかにスネていた。面倒くさっ!!
一方、後ろからは、
「ほらほら松奈、これがチョロ松兄さんが整形してイケメンになったときの写真!!」
「わざわざ取り出してこないで下さい、十四松お兄さんっ!!って、整形!?」
一松さんはやはり、不機嫌なままだった。
理不尽すぎるっ!!
その2:『妹』
その後、一松さんはフラリといなくなった。
午後は二人で出かける予定だったのに。
「はあ……」
そして一松さんを探して町を歩いていたら、おそ松さんに会った。
「あ、松奈ーっ!!」
一松さんとそっくりの顔。赤い松のパーカー。
私の姿を見るなり、嬉しそうに手を振ってくる。
「げっ!!」
とっさに逃げようと思ったが、腕をつかまれた。
「何だよ~。町の中でお兄ちゃんに会ったからって恥ずかしがるなよー!」
「いいいいいえ、わわわ私は一松さんを探していてですねっ!!」
新しい猫スポットにつれて行ってくれるという話だったのに。
たかが写真で、あそこまでヘソを曲げることはないでしょうが!
……もしくはまた斜め上に反応し、謎の自己嫌悪に陥って姿を消した可能性もあるか。
「ええ!? 一松と? ダメだよ。松奈はまだ未成年なんだから!
一松と(ピーっ!!)はまだ早い! そういうのは大人になってから!」
……昼間の町で、大声で言わんで下さい。
あと(ピーっ!!)にすぐ結びつけるとか、AVの見過ぎじゃないのか。