第8章 派生④カラ松END
「小悪魔のように意地悪な顔、思い通りにはならない強い瞳! 全身で俺を拒んでいるかのようなその仕草!
何て愛らしい!!」
カラ松さんのアイタタなセリフは続く。
「ちょっと!! 人が見てますよ! てか、あなた今、私がクソ生意気だってことしか言ってないから! 実はそれが本音だったんですか!?」
焦って地面を見る。カラ松さんの理想のタイプって、大人の美女では!?
これは明らかに異常事態だ!!
手を握られながら、焦って地面を見――カラ松さんの足下に空の小瓶が転がってるし……。
何で人に飲ませる薬を自分が飲んだし。
私の説明の仕方が悪かったのか、気が急いて説明をちゃんと聞いてなかったのか。
で、私への単なる感謝の気持ちが……『今この場でセク○スして下さい!』に……瞬間移動……。
ヤバい。猛烈にヤバい。
「松奈!! 愛しのマイハニー!!」
「正気に戻って下さい。薬のせいですから! それに私、あなたの弟の彼女なんですよ!?」
「おまえが誰の女かなんて関係ない!! もう二度と離さないからなっ!!」
「私は、一松さんの他に恋人などいりません!」
例えホテルで、二人の男に言い寄られようと目もくれない。それが私である!!
「ああ、何て一途な女なんだマイハニー!! そこも素敵だよ!」
逆に好感度が上がってしまった!
「……は?」
そして浮遊感。
お姫様抱っこされました♪
私はカラ松さんに両手で抱えられていた。
「止めてええええええ!!」
リアルに姫抱っこなんてするもんじゃない。絶対に後で肩と腰が死ぬから!!
「さあ俺と行こう!! 明日の見えない世界に!!」
だが奴は吹き出るアドレナリンで苦痛を感じていないらしい。
「下ろしてくださいーっ!!」
そして私は通行人の皆さんの見守る中、地の果てに連れて行かれたのだった……。
…………
…………
羞恥で死ねると思った。
で、今やっとカラ松さんは私をベッドに下ろし、意味もなく両手を広げ、
「さあついたよ、ハニー。俺たちの愛の巣に!!」
「愛の巣ってか、ラ○ホですからっ!!」
しかし本当に不味い。ラ○ホ。こういうホテルは一度入室すると、精算まで鍵が開かないオートロックなのだ。私の所持金……5、6円くらいあったかなあ。