第8章 派生④カラ松END
※2章135ページより分岐
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「イヤミ社長~」
「ダメったらダメざんす!!」
と、しばらく押し問答が続き、ついに――。
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サングラスと革ジャン。それとなぜかラメ入りのズボン。
六つ子の不憫な次兄・カラ松さんが迎えに来た。
「妹が迷惑をかけたようだな」
「永久に来るなざんす!!」
泣き声を背に、私はズルズルと河川敷を引きずられていった。
ようやくプレハブ小屋が見えなくなると、彼は意味も無くサングラスを外し、
「やれやれ。日の出ている間から人様に迷惑をかけてはいけないぞ、子猫ちゃん」
私相手にカッコつける必要があるのだろうか。
「で、カラ松お兄さんはどちらに?」
「朝日に誘われ目覚めし俺。だが安らぎはいらない。俺はいつも風の向くまま気の向くまま。俺を待つカラ松ガールズを迎える旅に出たところだ」
一人で早起きしたんだけど二度寝するのも何だかなーと、ナンパに出てきたらしい。
ツンと指で額をつつかれる。
「やんちゃな子猫ちゃんは朝から不法侵入と恐喝か? オイタはいけないぞー」
自分で言うのもアレだが、どちらもオイタどころか犯罪。
「いえいえ。イヤミ社長からお金がたまるコツを聞いてきたのです――それが、コレ!」
「? 何だ、それは?」
私が出したのは小さな瓶。中には錠剤が一個。
「これは何と! 身体の中の色んな神経に作用し、興奮作用が十倍に――」
「その薬をどうか譲ってくれーっ!!」
拝まんばかりに超絶に懇願された。止めて。散歩中の人が見てる!
待って待って。媚薬じゃないから!
「興奮といっても『感情』ですよ。ある種の感情が強化されます!!」
「え? どういうこと?」
目をぱちくり。まあ、私も最初に聞いたときは何だそりゃと思ったけど。
「恋愛感情が十倍になるらしいんですよ。
これを飲んだら、『嫌いじゃ無いかな』程度の相手にでも一気に……」
「フォーリンラブ!?」
「どころか『今この場でセク○スして下さい!』状態に!!」
「……子猫ちゃん。女の子が『セク○ス!』と口にするのはどうかな」
あの家で女の慎みを保てと?