第7章 派生③おそ松&チョロ松END
こ、こんな借り物の生活、長くは続かない。
すぐに破たんして追い出されて、その隙に一松さんの元へ。
てか、その前に元の世界に……!
「だ……誰か、助けてぇーっ!!」
「いくらでも声を出してもいいよ。ここ、防音設備が完璧だから」
なぜか嬉しそうにチョロ松さん。
「さ、ついたついた。松奈。色々疲れてると思うけど、頑張って」
むしろ疲れてるからこそ、強制してくるんじゃなかろうか、と押し倒されつつ思う。
弱っている間に抵抗する力を完璧に削いで、新しい環境に慣れさせる。
私の服を脱がせてくる二人はいつもと変わらず、軽口を叩いていたり、笑顔で下ネタを口にしたり。一松さんの兄弟だなーと心底から思うのであるが。
今までと違う雰囲気が、ちょっと怖かった。
…………
…………
それから、どれくらい経ったんだか。
今日も夜遅く、玄関のセキュリティコードが解除され、二人が帰ってくる。
私はエプロンをしながらキッチンから出てきて、
「おかえりなさい、お夕飯が出来てますよ」
「松奈、ただいまー!!」
「今日のお弁当も美味しかったよ!」
玄関先で二人にそれぞれキスをして、コートを取ってあげる。
カバンを持とうとすると、ズシッとして、すぐに下ろしてしまった。
今日も重いなあ。いったい何が入っているんだろう。
「カバンはいいよ、重いから俺が持つって」
「そうそう。色々と危ないものも入ってるしね」
二人がそっと私からカバンを取った。
「そうですか?」
まあコートだけでも結構重いか。ん? このコートの匂い……。
「あ、そうだ。お風呂も沸かしてありますよ。そっちが先でもいいけど」
「え? それ聞いちゃう?」
「答えはもちろん――」
私はハッとした。これは太古より存在せし、新婚究極の三択!
『ご飯になさいますか? それともお風呂? それともア・タ・シ?』
「うわああああっ!!」
コートが宙に放られ、床に押し倒される。
「ちょっと待って! せめて寝室でっ!!」
「松奈、今度さ、何も着ないで、その上にエプロンだけとかやってほしいんだけど」
「変態か! チョロ松さんっ!!」
エプロンとボタンを外してくるクソ三男を蹴りながら怒鳴る。すぐ押さえられたけど!