第7章 派生③おそ松&チョロ松END
…………。
告白だと思ったら大間違い。クズに脅迫を受けています。
告白めいた脅迫とか、初めて聞いたなー。
まず写真とは何かをご説明しよう。
この前、ホテルに連れ込まれたとき、マジで写真を撮られてます。
かなり、いや相当にヤバい写真を。
おそ松さん曰く、『記念』『後で使いたいから』とのこと。
……それはそれで、十二分にクズい。
全力で拒否したが、状況は二対一。復讐を誓いつつ、了承するしかなかった。
で、チョロ松さんはそれをネタに脅迫。好感度マイナスまっしぐらである。
私は、チョロ松さんを冷たく見上げる。
「ど、どうなの? お、お、俺、本気だよ……?」
本気では無いですな。まだ全然開き直ってない。
「そこまで緊張されるくらいなら、普通に私を誘えばいいのでは?」
「え? だって、松奈は一松の彼女だし、俺とおそ松兄さんでひどいことしたし、普通に誘っても、絶対にOKしてくれないでしょ?」
……そこまで常識があって、私から手を引くという選択肢がなぜ出ない。
「抵抗できない未成年を脅迫する気力があるなら、ナンパで彼女を探して下さい」
フンッと素っ気なく、チョロ松さんの脇をすり抜けようとすると、
「ま、待って待って待って、松奈!!」
腕をつかまれた。振り向くと、必死そうな顔があった。
「ごめん。さっきのは取り消す! 松奈にはこの前のこと、申し訳ないと思ってる。
何かお詫びがしたいんだ。今日は俺におごらせて! 絶対に何もしないから……」
チョロ松さんは、おそ松さんほど悪人になりきれてない。
私にしたことに対し、罪悪感がつのっているらしい。
耳まで赤くなって言う様子は、今度こそ告白しているみたいだ。
すごく怪しいんですけど。
立ち止まって肩を落とし、ため息をついた。
「分かりました。行きましょう」
「ほ、ホント……!?」
みるみる明るい顔になるチョロ松さん。
浮気をするつもりもないし、彼を許したわけでもない。
ただ、あまりにも申し訳無さそうだったので、断るのも悪い気がした。
それだけである。
…………
変なこと考えるんじゃなかった。
一見真面目そうだろうと、彼もあのクソ長男の一卵性兄弟の一人。
こんなだから私、いつも一松さんに怒られちゃうんですよね……。