第4章 後日談
…………
☆その後の話し合いで判明した誤解一覧☆
・私「ちょっと家がうるさすぎて困りますよね」
→一松さんフィルター『この家にいるの、マジで嫌』
・不動産の広告を見ている私(二人で家を出るのも有りかな……)
→一松さんフィルター『ウザい家を出て、ついでに無職彼氏もポイしようかな☆』
・私「やはり敷金礼金ゼロ保証人不要という物件はありませんですね」
→一松さんフィルター『今すぐ家を出たい! 彼氏も捨てたい!!』
・一松さん→「ヤバいヤバいヤバいヤバい! 松奈に捨てられる!
でもHはさせてくれるし、まだ見限られてるわけじゃないよね!?
なら今のうちに何とかしないと!! そうだ、結婚を申し込もう!!」
…………
一松さんの胸ぐらをつかみ、揺さぶってやる。
「どれだけマイナス思考なんですか! あと何かすごい方向に飛躍してるしっ!!
そんなに不安なら、私に一言聞けばいいでしょうが!」
「だって、それで本当に捨てようとしてるとか言われたら嫌だし……」
一松さんは泡を吹きながら、ボソボソと言う。
「このチキンがっ! 延々と手羽先でも共食いしてろっ!」
愛を疑われて、ちとショックでもある。
「……で、受け取ってくれるの?」
ぶすっとした顔の一松さんに言われた。
「え? ああ!?」
私は瞬時に一松さんから手を離し、正座する。
よく考えたらプロポーズ? プロポーズですよね、これ。
今さらながら、胸がドッキンドッキンする。
一松さんも正座し直し、私の前にビロードの小箱を置いた。
フタを開けると、給料三ヶ月分の輝きが。
……これを買うお金があったら、パチンコ行ったり競馬に行ったり、友達のご飯を買ったりホテルに行ったり色々出来ただろうに。
「それで、松奈――」
「…………うう……っ……」
「松奈……!?」
ギョッとした一松さん。でも私はポロポロ泣き出した。
「あ、あの、嫌だった? そこまで嫌ならいいから、受け取らないで……!」
「いいいいいります……! ふふふふふつつか者ですが……うぇ……」
その後は涙で言葉にならない。
一松さんはあたふたしていたけど、最後にそっと肩を抱き、
「……ありがとう」
私の顔を上げさせ、キスをした。