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【松】六人の兄さんと過ごした三ヶ月

第2章 二ヶ月目の戦い


「まあいいや、おかげで今後の対策が分かったし」
「は?」

「正直言って、この世界のどこかに住んでられる方が面倒だったんだよ」

「へ?」

「他に生活基盤があってそっちに帰られたら、それまでだったし」

 一松さんは私を見下ろし、ニタッと笑う。

 まさか優しかったのは、私が風邪で心身弱ってるのにつけこんで、一番知りたい
情報を引き出そうとしただけ……。

 私のパジャマのボタンを一つ一つ外しながら、

「異世界から来たんじゃないかって、皆で言ってたけどね。これでやっと全部つながった」

 まともにそう話し合ってる電波六つ子を想像すると怖い!!
 どういう子供時代を送ってたんですか、マジで!!

「松奈は、あの研究所の博士の発明品か何かで、この世界に来た。
 で、博士の薬で父さんをだまして、うちに上がり込んだんでしょう?
 一方、博士はおまえを呼んだ責任もあって、松奈を戻すため奔走中。
 でも自分たちだけじゃどうしようも出来なくて、三百万の調達と研究所の片付けを
松奈がしなくちゃいけなくなったと――BINGO?」

「何で、そこだけカラ松お兄さん風!?」

 バレた。私がここにいる一切合切が完全にバレた!!
 恐怖で息がろくに出来ないっ!!

「焦って短期間に大金を用意しようとしてるってことは、元の世界に戻れるかは一発勝負な感じ?
 あ、その表情。本当にそうなんだ、言ってみただけだったのに」

 悪魔か。こいつは悪魔なのか!!
 いや私の情報セキュリティ対策がガバガバなだけ?

「じゃ、この世界に定住する記念に……愛し合おうか」

「前半と後半、つながってないし! くどいようですが、ちゃんと帰りますからね!!」

 前提を忘れるな! 私は元の世界に愛する家族がいるんです!……多分。

「あ。そう。じゃあ頑張ってお金を貯めてね」
 私の耳元にささやき、胸の愛撫を始めながら言う。

「いえ、私は全然その気じゃ……ん……や……」
「風邪引いてるんだから、汗をかかないと」

 私の足の間に、自分の膝を割り入れながら言う。
 汗ばんだ私の手と、一松さんの手が絡み合う。

「ネタが古すぎる!!」

「弱って、身体が熱くなって……可愛い」

「だから古典的ですって! 看病はいいから、とっとと去って下さい、この色魔っ!!」
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