第2章 二ヶ月目の戦い
暖かいなあ。ゴロゴロ。こう、布団が暖かいだけじゃなくて、人肌のぬくもりが……。
『うわ! こっちじゃないよ、逆、逆! 一松兄さんは反対!』
何か言われた気がして仕方なく、ウトウトと逆方向に寝返り。
『ん……』
あ。何か不吉な声。身を縮め、ゴソゴソと足下に丸まる。
『…………』
『猫? ねえ、松奈って猫がまだ残ってるの?』
『それより、やっぱ起こした方がいいんじゃ……』
『フッ。別に俺はこのままソファでかまわないぜ、ブラザーたち。
子猫ちゃんが安心して寝られるならそれで――』
『起こさないってのはいいけど、一松の隣ってのが納得いかないんだけど?
俺らが寝てる横でイチャつき始めたらどうするの!』
『するわけないだろ! 妙な妄想をふくらましてんじゃねえよ、××松!!』
大声出さないでよ。眠いし……。
うなるとピタッと静かになる。よしよし……ぐう……。
それから何か変な夢ばかり見た。
『うわ! ちょっと抱きつかないで、俺は一松じゃないって!』
『ぅわーい、松奈だー!』
『どれだけ寝相悪いの、一松のとこに行って!』
『別にいいよ。寝ぼけてても避けられるくらい嫌われてるみたいだし』
『だから起こすのが一番良……違う! そっちは布団の外! 風邪引くよ!』
『来たか、子猫ちゃん! さあ俺の腕の中においで。子守歌を歌ってあげよう』
『いやもう寝てるし。起きろぉ、松奈ー!』
ぐうぐうぐう。
翌朝、自分のお布団の中で快適に目が覚めたのでした。
…………
六人のお兄さん達は、またしても昼前に起きてきた。
私はエプロンをして朝食を用意し、
「今日の目玉焼き、どうでしょう。半熟って難しいですよね。
お味噌汁、しょっぱくありませんか?」
感想を聞いてみるが、
『…………』
なぜか皆、疲れた顔で無言だった。そしてあちこち傷を負っている。
また夜中にケンカをしたんだろうか。本当にダメな大人たちだなあ。
…………
お皿洗いの後、一松さんに話しかけた。
「一松さん。昨日はごめんなさい。それと……」
昨日のことをちゃんと謝った上で、研究所の掃除を手伝ってくれるよう、お願いすることに決めたのだ。
……が。
「手伝っていただきたいことがあるのですが、いいでしょうか」
「ダメ」
えー。