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If…(2)

第7章 使いふるされた台詞





「アスマ!」





病院についてから一時間もしないうちに、病室に紅がやって来た。




その顔は青白く、俺を見た瞬間に安堵の色が浮かんだ。






「待機所でアスマが病室に運び込まれたって聞いて…。」






いつもは強気な紅が、弱々しくそう言う。







「ばか。
大事な女と子供おいて行くわけねえだろ?」




俺は紅を安心させるように笑うと、膨らみ始めている彼女の腹を見た。



ふと、数時間前を思い出す。
狭くなる視界の中、教え子達の悲痛な表情のあとに浮かんだのは、愛しそうに自分の腹を撫でている恋人だった。


暁との戦闘に駆けつけたルミに助けられた俺は、ルミが極秘任務についていると言うことともう1つ、彼女は未来が見えると言うことを知った。




タイミングよく現れたルミ。
彼女が来なければ、恐らく俺はあのまま死んでいた。





(本当だったら、俺は今ここにいなかったのかも知れねえな。)





本当だったらルミが来ることはなく、あの場で俺は死んでいたのかもしれない。
そんな未来が見えたアイツが助けに来てくれた。


俺にはそうとしか思えなかった。




俺は紅を抱きしめながら、生きている幸せを感じていた。
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