第7章 使いふるされた台詞
sideーアスマー
暁との戦闘で、妙な術を使うやつに心臓を貫かれて俺は死んだ……はずだった。
『アスマさん、申し訳ないですけど私はなかには入れないのでここまでで。』
そう言って背負っていた俺を木ノ葉の里の門で下ろしたのは、里抜けしたとされているうちはルミだった。
しかし、それは表向きで実際は極秘任務に就いていると知ったのはつい先程のこと。
思い返してみれば、うちはルミに追い忍が付かないなど不審な点はあったのだ。
カカシや7班のメンバーが絶対に連れ戻すから待ってほしいと頼み込んだせいだけではなかったようだ。
(ちょっと考えれば、そんな願いが通らないことくらい分かるはずだったんだかな…)
追い忍が付かない理由はうちはルミが里抜けしていなかったからだったのだ。
俺はすでにルミに対する警戒を殆ど解いていた。
『それでは、お大事にしてくださいね。』
ルミはそう言うと木ノ葉の門を力強く叩いた。
そして、一瞬にして姿をくらます。
「猿飛上忍!?」
すぐに開いた門から顔を覗かせた門番が、座り込んでいる俺を見て驚いたように駆け寄ってきた。
「悪いが、動けねぇんで火影んとこまでつれてってくれねえか?」
俺がそう言うと、彼は戸惑いながらも分かりましたと答えて俺を担いだ。
「そうか…。ルミに助けられたか。」
火影室に入ると、俺は人払いをしてもらい暁と戦闘があったこと、ルミに助けられてここまでで送ってもらったことを話した。
「その様子じゃ、アイツの極秘任務ついて知ってるな?」
綱手様は俺の話を聞くと組んだ手に顎をのせたままこちらを見る。
「いいかい、この事は他言無用。勿論カカシにもだ。」
綱手様の言葉に俺は頭を垂れ従うことを表した。
「さて、報告もすんだことだし、お前はさっさと病院送りだ!」
綱手様は通りかかった中忍を呼ぶと、即席の椅子に座らされていた俺を病院へ連れていくように命じた。
「わりいな。」
俺は大人しく木ノ葉病院に運び込まれた。