第6章 切り捨てと救済
『大蛇丸さん、ちょっと出掛けてきます。』
新しいアジトに移動して数日後。
大蛇丸と組手を終え、昼食を取ってから私は声をかけた。
「わざわざ報告するってことは直ぐには帰ってこないのね?」
いつもは何も言わずに出かける私が声をかけたことで大蛇丸はそう判断したらしい。
そして、それはその通りだった。
『はい。ちょっと何日か。』
私がそう答えると、大蛇丸は、気をつけて行くのよ、とだけ言った。
『君麻呂も連れて行って良いですか?』
そんな大蛇丸に君麻呂と行こうと思っていることを告げる。
「君麻呂の命はもう貴女のものなんでしょ?
好きにしたらいいじゃない。」
大蛇丸は君麻呂に聞いたのか、私が君麻呂と交わした約束を知っているようだった。
『それじゃ、行ってきます。』
私は大蛇丸にそう言って台所へ向かった。
『君麻呂、それが終わったら一緒に着いてきて欲しいところがあるんだけどいい?』
台所で食器を洗っていた君麻呂は私の声に振り返った。
「いいよ。」
そう言うと手を振って水をきる。
どうやらちょうど洗い終えたようだった。
『何日か出かけることになるけど。』
「分かった。」
君麻呂はためらうことなくそう言うと、私が何のために出かけるかを言う前に荷物を取ってくると台所を出て行った。
『君麻呂、これから出かける先で戦闘があると思うけど、大丈夫?』
しばらくして戻ってきた君麻呂にそう言うと、彼は頷いた。
「忍具一式持ったし、兵糧丸も救急セットも持った。」
準備万端な君麻呂に私はなにも言えなくなった。
それからすぐ、私と君麻呂はアジトを出発した。
『これから雲隠れの里に向かうんだけど、目的は後で話すね。』
私は口寄せした忍鳥を追いながら君麻呂に行き先を告げた。
「いいよ。雲隠れを潰しでもするの?」
君麻呂はあっさりとそんなことを聞いてきた。
『何でそうなった!?
違うよ。人柱力に会いに行くの。』
私がそう言うと、君麻呂はそうとだけ言って会話が終了した。