第5章 迷い
サイの攻撃を振り切ってアジトを破壊した私は地下だったそこから飛び上がって地上に戻る。
天井が全て崩れ落ちたせいで、崖の上からサイを見下ろしているような気分になる。
この騒ぎで、ナルトたちに居場所が分かっただろう。
そんなことを思っていると、横穴からサクラが飛び出して来てサイに掴み掛かった。
(あ~、確かサイがサスケ…、この場合は私か。
サイが私を殺そうとしてると思ってるんだっけ?)
何とか漫画を思い出しながら、サクラの名を呼んだ。
そして、振り向いたサクラと視線が合わさる。
サクラの瞳が大きく見開かれた。
「…ルミ?」
『
久しぶり……否、この姿は初めましてだったね。サクラ。』
そう応えたが、返ってきたのは沈黙だった。
ほんの数秒が永遠のように長く感じる。
「……ルミ…」
しかしその沈黙も長くは続かず、新たに飛び出して来たナルトが私を見て呟くように言った。
シンとしたここで、それは私の元まで届く。
その後に続いてすぐ、もう一人男が現れた。
テンゾウだ。
(確かヤマトって名乗ってるんだっけ。)
『ナルトか。来てたなんてね。』
そう言うが、私を見つめたまま誰も反応を返さない。
『それならサスケと先生もいるの?』
いないだろうと思いつつ聞いてみた。
すると、テンゾウが一歩進み出た。
「カカシさんじゃなくて残念だけど、ボクが代理だ。
サスケ君もここには来ていないよ。
これからカカシ班は君を木ノ葉に連れ帰る。」
『カカシ班か…』
テンゾウの言葉に懐かしさを感じそう呟くと、サイが刀を抜いてこちらに向けた。
「サイ!」
それにナルトが反応する。
「やっぱり、ルミのことを!」
サクラもサイを睨む。
『彼は私の穴埋め?それともサスケの代わり?
まぁ、どっちにしろ随分とぬるい奴が入ったね。
私達の繋がりを守りたいなんて言ってたけど。』
私のその言葉に、三人がサイを見た。