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私は貴方に恋をした

第1章 私は貴方に恋をした


06

翌日から彼女が来なくなった呉羽ははぁ、と溜め息を軽く吐いてゲートを見た



その頃、余りのパニックに高熱を出してしまった朱里は布団に潜り込んでぽろぽろと涙を流し声を殺して泣いていた。
男性だったと判った瞬間私は何をした?
ショックのあまり乱ちゃんに寄り掛かって…
凄く失礼な事をしてしまったよね?

今まで性別を隠して来たのだって私がショック受けないようにと
わざわざ着替えて待ってくれてたよね。

私はきっと呉羽さんを傷付けた。酷い女だ。

ふと、布団がめくられ、深刻そうな顔の膝丸が頭を撫でてきて、数珠丸に抱き締められる。

「主は何に心を痛めている?」

ぽろぽろと零れる涙を数珠丸は冷えた手拭いで拭ってくれて。
そのままもたれる様に数珠丸に背を預けた

「く、呉羽さんに、ぐすっ、酷い事した!私ばかだ!」
「奴が男だったと言うのにはショックは受けてないのか?」
「呉羽さんは呉羽さんだもん!ビックリし過ぎて…私!」

呉羽に悪いことしちゃったと再び泣き始めたのを数珠丸は冷たい手拭いで目を押さえてくれた

「朱里、貴方は彼の者を嫌ってないのですか?」
「そんな事無い!呉羽さんだいすきいいい!」

朱里の珍しい反応に膝丸と数珠丸は顔を合わせてコクりと頷き。
泣き疲れて眠ってしまった朱里を横たわらせて

「光忠」
「うん?なんだい?」
「聞いていたでしょう?主の悩みの元へ行って参ります」

光忠は「え、もしかして大乱闘しないよね」と一瞬混乱したけども
笑っていたから大丈夫かなと
離れに上がって眠っている朱里の背中をぽんぽんと叩いてあやした。




俺を討ちに来るには的確な人選か。
訪問してきた膝丸と数珠丸に明石が刀を構える

「戦いに来たのではない明石国行。呉羽、貴様に会いたがってる奴がいる」
「「は?」」

明石と共にポカンと口を開けた呉羽にクスクスと数珠丸が笑い。

「今日の私たちは只の使者です、飲んでくれませんか?」
「一応聞くが、誰だ?」
「ふふふ、細川朱里…かつて貴方に面倒を見て頂いた我が主ですよ」
「まさか」

じゃあ何で自分で来ない?何かあったのか聞くと
あの日から熱を出して寝込んでいると言う
熱を出すほどのショックを受けさせたのは自分なのに
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