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私は貴方に恋をした

第1章 私は貴方に恋をした


「俺の唯一絶対の女性は朱里だけだって、まだ付き合って一年も経ってないけど充分思い知ったから。ずっとそばに居て欲しい。俺と結婚してくれますか?」

ちゅっと軽い音を立てリングのすぐ下、朱里の薬指に小さく口づけて答えを待つ。
じっと見つめる楓の目の前で、朱里は目を見開いて固まり指輪と楓を交互に見つめている。
数秒か、数分か、朱里の返答を待った楓だがいつまで経っても呆然としたまま動かない朱里に苦笑すると、顔を覗きこむために屈めていた身を起こして取ったままだった手を引く。
すんなりと引かれ己の腕に納まった朱里をぎゅぅっと抱きしめるとその耳元に唇を寄せて囁く。

「前から言ってるだろ。嫌だって言ってももう離してやらねぇって。俺らだけじゃなく、他人にも目に見える形で全部朱里を独占したい。ダメか?」
「っ……だ、めじゃ、ない……」
「ふふっ、ありがとう。朱里、愛してる」
「私も……」

いつも以上に明確に示される独占欲に、朱里の頬が朱に染まり少しだけ窺うような声で囁かれるダメ押しに腕の中でその胸に顔を押し付けながら首を振ると、朱里は自分からも抱き着く。
朱里の仕草に、可愛いと囁きながら髪を撫で、嬉しそうに礼を言う楓の言葉にもぞりと身じろいで顔を上げた朱里も満面の笑みで返す。
自然と引き合うように触れた唇は、神聖な誓いを交わしたような気分にさせた。
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