第7章 【エルヴィン】虫唾が走る
言葉は出せなかった。
そのまま見つめると、エルヴィン団長は表情ひとつ変えずに口を開いた。
「君と兄妹だそうだな」
涙が溢れる。
そうです、私の唯一の家族。
そして大好きな人。
「虫唾が走るよ」
私はその言葉を聞いて、目を閉じた。
最期に見た、エルヴィン団長の美しい碧い瞳には、美しい涙が浮かんでいた。
最期まで優しい言葉はくれなかったし、今までの態度の意味、涙の意味も分からなかったけど。
最期に“家族”に見送られ、そして憧れる人の涙を見た。
こんな幸せは無い。
さようなら。愛しい人。
さようなら。
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