第24章 〇【ジーク】真夏の災難
「はい、はい……ありがとうございます、30分以内に。分かりました、失礼します」
なんとこんな真夏に電気が止まってしまった。原因は料金の払い忘れ。先程まで涼んでいたサラとジークは突然落ちた電力に焦り、停電かと調べたがどうやら自分達の家だけに電気が通っていないと気付き、急ぎで支払いを済ませて電力会社に連絡したというのが今の所だ。
「ジーク、ごめんね……家の事……もっとしっかりしなきゃ、暑いのにごめんね」
謝るサラの横で上半身は何も纏わず、半ズボンを履いただけの状態で腰を下ろす。
サラはキャミソールとパンツでベランダの陽が差して影になった場所に足を投げ出していた。
汗が流れるサラにアイスとタオルを手渡した。
「いいよ、俺もお前も忙しかっただろ?殆ど家に居なかったんだし仕方ないさ」
頭を撫でてやると、困ったままの顔で微笑んでくる。だが手元はアイスの袋を開けながら、すぐに口に含まれた。
よくあるフルーツ系の棒アイスだ。ジークが暑がりで常備されたアイス類。サラがちゅぽ、と口から離しては含む。
ジークも口に含み「美味ぁ」と呟く。
汗が次から次に流れ、二人ともシャワーを浴びた様にぐっしょりと濡れている。ジークはサラの汗を拭いてやったり、逆にサラがジークを拭いたりしながら電気が通るのを待つ。
「家にいる時にアイスがこんなに美味く感じる日はないなあ。今日のアイスは格別だ」
「うん、でも冷房切ってベランダでこうして食べたらいつでも美味しくなるよ?」
「馬鹿だなあ、しないよわざわざ」
「はは!だよね」
ベランダに影が出来ている時間帯で良かった。ジークは必死にアイスを舐めるサラを見た。
そういえば……アイスを舐める姿にエロさとか感じた事ないな。
ジークはサラをじっと見つめる。
単純にアイスを含んで溶かし、飲み込むだけの行動。これがエロ漫画か何かなら男側が女の子に欲情してセックスの流れだよな、なんて考えながらボーッとサラの口元を見たまま自分もアイスを舐める。
その視線に気が付いたサラ。さらに、目より少し下の口元を見ていると気が付いた。
ジークと視線が合うと逸らし、再びジークとサラは目が合った。