第23章 〇【ナイル】Family complex
「まだ、これではダメらしい。この先をしなければ解放はされないようだが……」
「は……い、大丈夫、です、大丈夫ですから、お願いします」
「……分かった」
体を起こし、ボタンとチャックを下ろした。
生理現象だと思いたいが、きちんと男の仕事をするペニスは人生で一番反り勃っていた。
心で妻に謝罪した。そうして、少しでも萎えてくれれば、罪悪感から逃れられるような気がする
……筈なのに、ひとつも萎える気配はない愚息を手にした。
そういえばもう何ヶ月もセックス自体していないと思い出す。身重の妻と日々の激務にセックスさえ忘れかけていた。
頼むから、しばらく振りのセックスに生理現象で勃起した、ってだけにしてくれよ。
ナイルは心でボヤき、少し前に出た。
「すまない、すまないサラ」
「師団長、謝らないでください。誰も師団長を責める人は居ません」
サラが腕で上体を少し起こしてキスしてきた。ナイルは自虐気味に笑い、サラの優しさを噛み締め、亀頭を膣口に擦り合わせた。
心臓がうるさい。もう周りが見えない、観衆が見ている、その状況はもう忘れ去られていた。
「サラ」
「しだん、ちょ……ぉ」
間近で目を合わせたまま腰を埋めれば熱と膣圧で食われているような感覚に襲われ、思わず息を止める。
「あ、あ、あ、入っ、」
「力を抜け、キツい……、」
「だめ、できな……」
互いに汗が滲み、ナイルは堪らずキスをしてベッドマットにサラを押し付けた。
驚いて緩んだ力にまた腰を入れれば、口内に声が篭った。
舌を擦り合わせ吸い付き、甘い唾液を感じながら離れれば、自分の下で震えて声にならない声で喘ぐ部下が目に入る。
「俺は……何を」
最後、亀頭は奥に当たっていたが腰を完全に押し込むとサラから悲鳴に似た声が上がり膣が収縮した。
「しだ、……待……って、くだ、助け……」
サラの助けを乞う言葉を聞き入れながら、ナイルは腰を引き、一気に奥に叩き付けた。
「あ"う"!!!」
貴族の歓声が薄ら聞こえる。
耳にはもう自分の心臓の音と、サラから出る女の声しかハッキリとは聞こえない。