第21章 〇【ジーク】ソラ様合同夢♡
「せ、んせっ……わたしも、イく、せんせ、だめわたし、イッ……くっ、んっあっ!!」
「っは、俺も、イく、っふ……く……!」
先生が何度か腰を打って、最深部で止まった。
頭がチカチカして、自分が呼吸を止めてしまっていたのに気が付いて酸素を吸い込んだ。
ジーク先生も同じだったみたいで、私の上に倒れ込んで必死に息をしている。
───……。
「……ありがとうございます、あの、本当にお代……施術代だけでも……」
「要らないって言ったでしょ。……あ、みんなには内緒ね、君だけだからさ。お代要らないなんて聞いたら、みんな寄って集ってくるから」
すっかり日が落ちた院の入口。私はジーク先生にお代を受け取ってもらえずに申し訳なさを感じていた。「でも、」と言いかけたけど、
「俺も気持ち良くして貰っちゃったし……ね?」
という言葉に私は口を噤んで、ジーク先生が近付いてくるのを見つめる。大きな手のひらが腰を引き寄せて、耳元で静かに言った。
「お代は要らないから……また来てよ。……サラちゃん」
ジーク先生は私を離し、そっと背中を押して、「気を付けて。ありがとうございました」と見送ってくれた。
何故か心が空っぽだ、ただ心にあるのは、先生との“施術”の時間だけ。私はまだ身体に残るアロマの香りと先生の感覚を思い出しながら家への道を急いだ。
───……。
一人になった院内。ジークはサラが出ていった入口を見つめながらタバコに火を付けてふかし、白い煙を吐いた。
「……また来る、絶対に」
浮遊して空間に溶けた煙を見ながら再び煙を吐く。
ジークは院内の電気を消して踵を返し、気だるげな足音を立てながら院の奥へと消えていった。
-END-
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