第19章 〇路地裏アンアンinミケ
「ミケさ・・・苦し・・・」
「しっかりしろサラ・・・!!」
時を遡り、1時間前。
本来憲兵団の役割である取り締まり。
職務を放棄する憲兵団の上官たちを見兼ねたミケが珍しくエルヴィンに提案をした。
研修を兼ねた兵士交換。
これ自体はミケの提案だが、エルヴィンの思惑はまた別の箇所にある。憲兵団の兵士の引き抜き、それが狙い。
慢性的な兵士不足に悩まされている調査兵団。命を投げ打ち壁外調査に出向くこの“変人の集まり”に変心する者は少ないだろうが、藁にもすがる思いでもある。
言い出したミケ率いる分隊の兵士達は憲兵団の兵士から仕事を割り振られるが、どれも巨人との戦闘よりはぬるく、優しいものばかり。
貴族宅の草むしりなんかもやらされ、憲兵が雑用として押し付けただけだろうが、一応職務として全うした。
ミケは草むしりを終えて憲兵団の本部へ向かう途中、貴族が飼っている猫が迷子になり、それを探しに行ったサラと合流する為に街を歩いていた。