第17章 【ゲルガー】お前の為なら
「ゲルガー・・・!ゲルガー、痛いよっ!」
怒りを鎮められぬまま、帰路に着いていた。
サラの声に我に返り、止まって謝る。
「すまねえ・・・。あと・・・さっきは取り乱しちまって・・・嫌な思いさせて・・・すまなかったな」
月が出てきて、辺りが明るくなってきた。
目に映るサラの表情は、何故か柔らかい。
ゲルガーが不思議に思っていると、サラがゲルガーの手を握ってきた。戸惑うゲルガーにサラは涙を目に溜め始めた。
「お・・・前、大丈夫か?やっぱ変な事されて・・・」
「違うの!違う・・・いや、ま、違わないし・・・怖かったのも・・・ある、けど・・・安心して・・・」
ゲルガーは涙を零すサラの言葉を聞いて、体が勝手にサラを引き寄せていた。
「・・・へ?」
「もう大丈夫だ、あの時1人にして悪かった、本当に・・・」
「ゲルガーは悪くないよ」
サラの腕が背中に回され、より深く体が密着する。
「・・・ゲルガー?」
「何だ」
「私、ゲルガーが好きだよ」
「は??え??」
「こんなこと言われて困ると思うしタイミングもおかしいけど・・・でも今言いたくて・・・やっぱりゲルガーが好きだよ私・・・。ごめん、困らせる事言って」
胸から顔を上げたサラと目が合う。徐々に言葉を理解し、心臓が忙しく動き始めた。
「・・・俺が言いたかった事サラッと言いやがって・・・」
ゲルガーはサラを抱き締めなおす。
「俺もずっと好きだった」
その言葉からしばらく抱き合い、それから二人はまた並んで歩き始めた。
二人で並んで歩くのは、昔から変わらない。
ひとつ違う所といえば、しっかりと繋がれた手だけ。
宿舎に着く頃、美しく輝く星を二人で見上げていた。
「酒、飲まなくてもやるときゃやる男だと思ってたぜ・・・まあ先越されはしたけど・・・」
「ん?何?」
「いや、なんでもねえよ」
-END-