第3章 〇【モブリット】実験台
調査兵団第四分隊の兵士であるサラは瓶を手に、キョロキョロしながら、目当ての人物を見つける。
「見つけた!!モブリットさーーん!!」
「う!?」
目当ての人物というのは、サラが所属する隊の副長、モブリット・バーナーだ。
「今日こそ私が作ったこの怪しい薬堂々と使わせてください!」
「今“怪しい”って自分で言っただろ!!」
「いーじゃないですか!ほらあ!」
「うわっ!!かけるな!!誰か助けてくれ!!」
サラが薬品を調合し、いつも実験台にとこっそりモブリットの飲食物に薬品を仕込むのだが、今日は違った。
「これは薬品が皮膚に付かなければ意味が無いんです!って!あ!?ちょっとモブリットさん!逃げないで!」
「くっ・・・逃げるに決まってるだろ!?私になんの恨みがあるんだ!?」
モブリットは書類を手にしながら廊下を走り、とりあえず目に入った部屋に飛び込み、鍵を閉めた。