第6章 ある夏の一日
迷惑なのはわかってる。でも宗介さんにちょっとだけでもいい、会いたい。制服姿見たいから写真撮って送ってください、ってお願いも、嫌だの一言で突っぱねられちゃったし・・・
「・・・はっ!おう、わかった。なんとか抜けれるように話してきてやる。ちょっと待ってろな」
「は、はい!ありがとうございます!」
凛さんはまた笑って私のお願いをきいてくれて、こんなの絶対顔がにやけちゃう。赤くなり、緩みきった頬を隠すように手で覆っていると、正面の江先輩がなんだかすっごくいい笑顔を浮かべて私を見ていた。
「よかったねー、ヒカリちゃん」
「は、はい・・・」
「楽しみだねー、ヒカリちゃん」
「は、はい・・・って!もう!やめてくださいよ、江先輩・・・」
「あはは!ごめんごめん」
嬉しいけれどこういうのやっぱり恥ずかしい。宗介さんが来るまでにドキドキしすぎてどうかなっちゃうんじゃないかってぐらい、心臓は早鐘を打っていた。
「歩ちゃん達も一緒に来れたらよかったですね」
「みんな用事あるって言ってたし、仕方ないよ。また違う日にみんなで来ようよ」
「そうですね、楽しみです!」
料理を待つまでの間、江先輩と色んな話をしていたら、ドキドキもだいぶおさまってきた。1年生の子達とも一緒に来たらもっと仲良くなれるかなあ、なんて思ってると・・・
「お待たせしました。こちら魚介のスパゲッテイです・・・ほら、江」
「あ!ありがと、お兄ちゃん」
凛さんがお皿を江先輩の前に置く。
「あ!私、たくさん注文したから時間かかると思うから・・・江先輩、先に食べて下さい」
「え?いいよ、待ってるよ」
「いえいえ!熱い内に食べるほうが美味しいですから、どうぞ!スプーンとフォークとりますね。あ、江先輩お箸の方が・・・」
やっぱりできたてを食べるのが美味しいし、私のせいで待たせちゃったら江先輩にもお料理にも申し訳ない。そんな思いからカトラリーケースに手を伸ばそうとした時だった。
「・・・ヒカリ。んな待たなくてもいいみたいだぜ?ほら」
「へ?」
凛さんが後ろを振り返りながらなぜか嬉しそうな声を出して、私もおんなじ方向に目をやった。
そこには・・・