第5章 かれしかのじょ
「宗介さんに聞いてみようかな・・・」
ぼんやりと頭に浮かんだことを口にする。そうだ、こんなに悩むぐらいなら直接聞いちゃえばいいんだ。
・・・またガキって思われちゃうかな・・・・・・ううん、待って!そもそも勘違いすんな、お前のことは好きだけど別に彼女じゃねえからとか言われたら・・・
「・・・っっっ!!!はい!!はいはいはい!!!」
なんだか思考がどんどんおかしな方へ行ってしまって、そしてそんなところに携帯が鳴って。名前を確認すれば当の本人だったものだから、もうなんだかほとんどパニック状態で慌てて起き上がって電話に出た。
『・・・・・・いやお前、何回はいって言うんだよ・・・ふはっ!んで、相変わらず声でけえな。はっ!』
宗介さんの低い声。声だけなのに、宗介さんが笑えばその笑顔がすぐに心に思い浮かぶ。それだけでなんだか涙が出そうになる。
「あ、う・・・ご、ごめんなさい・・・」
『お前、もう家着いてんだろ?』
「は、はい。今お風呂出たところで・・・宗介さんは?」
『俺はついさっき寮に帰ってきたところだ』
「そ、そうですか・・・」
宗介さん、帰ってきたばかりなのに、きっと疲れてるのに、それなのに私に電話してくれたんだ。嬉しい・・・
・・・よし!思い切って聞いちゃえ!
「あの!宗介さん!き、聞きたいことが・・・」
『は?なんだよ』
「わ・・・」
『わ?』
「っわ!私って!宗介さんのか、彼女になったんでしょうか?!」
『・・・・・・』
どどどどうしよう?!思い切って聞いたはいいけど、宗介さん沈黙してしまった。引かれちゃった?何言ってんだお前、そんなわけねえだろ、とか言われたら私・・・
「あ、あの、今のやっぱりなしで・・・」
『ヒカリ、お前・・・ホント声でけえから。耳、キーンってなってた』
「うぇえ?!ご、ごめんなさい!!!」
『はっ!まあお前らしくていいけどな・・・・・・で、なんだって?』
謝る声すら大きかったんじゃないかって不安になったけど、宗介さんは笑って許してくれた。だけど、少し置いて宗介さんの声のトーンが変わる。