第5章 かれしかのじょ
「へ?えっと、だから、か、彼女・・・」
『・・・なってくれねえのか?』
「な、なるっ!!!なるなる!!なりたい!!なります!!!」
宗介さんの声がなんだかとっても悲しそうな感じがして、私は慌ててありったけの声を出して叫ぶ。
・・・ああ、いけない。また大きな、しかもとびっきり大きな声出しちゃった、って思った時にはもう遅い。
『・・・・・・ぶはっ!・・・っはは!ははは!!』
しばらく沈黙が続いて、ああ呆れられちゃったかなって不安になったけど、すぐに宗介さんの大きな笑い声が聞こえた。
「そ、そんなに笑わないで下さい・・・」
『ああ、悪い悪い・・・ふはっ!ほんっと面白いな、お前』
また面白いって言われちゃった。顔が、全身が熱い。でも、嬉しい。私、宗介さんの彼女なんだ。って言うことはつまり・・・
「あ、あの!あと・・・」
『おう』
「わ、私が宗介さんの彼女ということは、その・・・宗介さんは私のか、彼氏ということに・・・」
『ああ、そうなるな』
・・・よかった。本当によかった。そっか、お互いに『好き』ってなったら確認なんかしないでもそういうことになるんだ・・・
「そ、そうですか・・・うん。そうですよね・・・」
『・・・・・・くくくっ』
思わず声に出して幸せを噛み締めていたら、小さく宗介さんの笑う声が聞こえてきた。
・・・さっきから宗介さん、笑ってばっかりでひどい。こんなの当たり前のことかもしれないけど、初めてだからわからなかったんだもん。
「も、もう・・・笑いすぎです・・・」
『はっ!悪い、んな怒んな・・・あー、そうだ。今度、花火大会あるだろ?』
「ふぇ?!あ、ああ、そうですね」
いきなり話題が飛んで、なんだか間の抜けた声が出てしまった。そういえば、ポスターを見た気がする。確か数日後のはず。
『・・・一緒に行かねえか?』
「へ?」
『あー、何か用事あるなら別に・・・』
「い、いえ!!何もありません!!い、行きたいっ!!一緒に行きたいです!!!」
『・・・・・・』
予想もしてなかった宗介さんからのお誘い。これって、これって・・・デートだ・・・!!
嬉しくって嬉しすぎて張り切って返事をしたのに、宗介さんはなぜかまた沈黙。